病院・クリニックにおける事業承継に関するご相談

病院・クリニックにおける事業承継に関するご相談事例をはじめ、
当事務所の弁護士によるサポート内容などをご紹介します。

  • case01 後継者問題

    院長が生前に相続対策を行わなかったため、相続人間で遺産を巡る対立が発生し、クリニックを円滑に承継できない。

  • case02 事業譲渡契約書の不備

    生前にクリニックを後継者に事業承継したものの、事業譲渡契約書の内容に不備があり、当事者間でトラブルになった。

  • case03 後継者以外の相続人からの遺留分侵害額請求

    院長である父から長男が医業用資産を無償で譲り受けたが、父が亡くなった途端、他の相続人から遺留分侵害額請求を受けた。

事業承継に向けての準備

  • 事業承継対策をする必要性

    医業承継の対策が不十分であれば、院長の死後に、遺産分割や遺留分などの相続問題が勃発し、クリニックの運営が不安定になるおそれがあります。一方、生前に事業承継対策を行えば、紛争を未然に防げるだけでなく、節税対策を検討できるなど、経済上のメリットを図ることができます。承継に向けた準備は早いに越したことはないでしょう。

  • 個人が運営するクリニックの承継方法

    法人化していないクリニックでは、生前の承継は、主に事業譲渡によって行われます。この場合、承継対象となる資産や負債を特定し、後にトラブルが起きないような事業譲渡契約書を作成しなければなりません。その他にも、借入先の金融機関やテナントのオーナの承諾を得たり、従業員と承継後の条件を協議するなど、様々な準備が必要になります。
    また、万一院長が急逝しても後継者に承継できるように、遺言書も作成しておくと安心です。

  • 医療法人の承継方法

    出資持分のある医療法人では、通常、出資持分を後継者に譲渡し、職員や役員を交代させる形で承継が行われます。医療法人の場合、実質的な支配権は、出資持分の持分権者ではなく、職員総会を構成する職員に帰属しています。職員は一人一議決権ですので、後継者側が職員の過半数を占めるように変更する必要があります。

病院・クリニックが対応すべきこと

1.遺留分対策

事業承継では、税務対策だけでなく、遺留分にも配慮しなければなりません。この遺留分とは、遺言や生前贈与によっても侵害されない相続人に法律上認められる最低限の相続分です。院長が遺言や生前贈与などで後継者に財産を集中させた場合には、他の相続人の遺留分を侵害することになり、院長の死後に、遺留分侵害額請求を受けるリスクがあります。そこで、事業承継により遺留分を侵害する可能性がある場合には、次のような遺留分対策を検討するとよいでしょう。

①他の相続人に相応の代償金を支払い、遺留分放棄の審判を受けてもらう
②中小企業経営承継円滑化法の民法特例を活用し、相続人全員の合意を前提に、事業用資産を遺留分算定の基礎財産から除外する
③生命保険等を活用し、後継者に遺留分侵害額請求を受けた際の支払原資を確保させる

これらの方法は、他の相続人との交渉や、遺留分の詳細な計算が必要となりますので、
事業承継に詳しい弁護士の助言を受けることをおすすめします。

2.持分なし医療法人への移行

医療法人の出資持分は、内部留保の蓄積や保有不動産の高騰などにより評価額が過大になっていることが少なくありません。そのため、医療法人の事業承継にあたり、出資持分を後継者に承継すると、後継者に多額の贈与税・相続税の負担を強いてしまいます。他方で、出資者が出資持分を放棄すると、他の出資者や医療法人にみなし贈与税がかかってしまいます。

もっとも、出資持分の放棄・払戻しを前提に、特定医療法人、社会医療法人、認定医療法人のいずれかに移行すれば、相続税や贈与税の負担を免れることができます。このうち、特定医療法人と社会医療法人は、職員ないし役員の同族制限があるため、親族内承継の場合には、同族制限のない認定医療法人を選択することが多いように思われます。

ただし、認定医療法人として認可を受けるには、利益供与の禁止などの要件を満たし、定款変更等の手続きを適正に履践しなければなりません。
また、出資持分の放棄・払戻しの手続きに関しても、出資者の特定や意思確認、払戻し手続き等を適切に行わなければ、後々トラブルになる可能性があります。これらの手続きを円滑に行うには、法的観点からの助言が不可欠ですので、弁護士にご相談ください。


3.医療法人の第三者承継(M&A)

医療法人を第三者に承継する場合には、買主側が対象法人に問題点がないか調査し、
事業価値を査定(デューデリジェンス)します。
法務調査では、医療施設に使用している不動産の権利関係、許認可の取得、労働紛争や医療訴訟の有無などを確認します。
特に、医療法人の支配権を有する職員の特定は重要です。
売主側としても、これらの説明や裏付資料の提供をスムーズに行えないと、クロージングに至らなかったり、譲渡価格を減額される可能性があるので、M&Aに詳しい弁護士のアドバイスを受けながら手続きを進めるべきでしょう。

M&Aの流れ

  1. step01

    ノンネームシート

  2. step02

    FA契約 又は 仲介契約

  3. step03

    秘密保持宣誓書 又は 秘密義務契約

  4. step04

    企業概要 又は 一次資料

  5. step05

    基本合意契約

  6. step06

    デュー・デリジェンス

  7. step07

    最終条件交渉

  8. step08

    最終契約

病院・クリニックにおける事業承継は当事務所へ

  • 当事務所の対応01医療機関の事業承継の豊富な実績

    医療機関の事業承継においては、上記事項のほかにも、行政上の手続き、医療記録の引継ぎなど、検討すべき法的事項が多岐にわたります。当事務所では、医療機関の事業承継を多数取り扱ってきた経験とノウハウを生かし、医療機関の円滑な事業承継をサポートします。

  • 当事務所の対応02相続対策にも精通

    当事務所は、相続事案も専門的に取り扱っております。遺言作成、遺留分対策などの事前対策から、相続後に遺産分割を巡って紛争化しているケースまで、幅広く対応致します。相続に関して、親族間の調整が必要になる場合には、ご相談ください。

  • 当事務所の対応03専門家との連携

    事業承継に当たっては、顧問の税理士、会計士の先生方らと税務上の対策をご検討されると思います。
    当事務所は、これらの関係者の方々とも連携しつつ、適切に法的な観点からのアドバイスを致します。
    既に事業承継の方法が決まっていても、法的リスクについて未検討の場合には、当事務所にご相談ください。