【適時調査】夜勤の看護配置の誤解が招く多額の返還金!「看護師」と「看護職員」の区別
夜間の看護配置基準は、診療報酬の区分に応じて、配置される看護人員の種類と数が異なっています。
施設基準で用いられる「看護師」「看護職員」「看護要員」の用語は、以下のように意味が区別されています。
- 看護師 :厚生労働大臣の免許を受けた者(助産師・保健師を含む)
- 准看護師:都道府県知事の免許を受けた者
- 看護職員:看護師+准看護師
- 看護要員:看護師+准看護師+看護補助者
これらの区別を誤ると、厚生局の適時調査で不備を指摘され、多額の返還金を負担する事態になりかねません。
適時調査で夜勤の看護師の配置基準について不備を指摘された事例
最近では、緩和ケア病棟入院基本料を算定している病院が、夜勤時間帯の看護師の配置基準を満たしておらず、約3億円の診療報酬を過大に受け取っていたというニュースがありました。
緩和ケア病棟では、夜勤時間帯に看護師2名以上の配置が必要ですが、この病院では月に7日程度、夜勤時間帯に准看護師が勤務していたとのことです。急性期一般入院基本料では准看護師を含む看護職員2名以上の配置が認められていることから、誤って同様に取り扱ってしまったようです。
診療報酬ごとの夜勤時間帯の看護師配置基準の違い
緩和ケア病棟入院基本料を算定する病棟については、「当該病棟において、一日に看護を行う看護師が本文に規定する数に相当する数以上である場合には、当該病棟における夜勤を行う看護師の数は、本文の規定にかかわらず、二以上であることとする。」と告示で定められており、夜勤時間帯に看護師2名以上の配置が必要とされています。
他方、急性期一般入院基本料、地域一般入院基本料を算定する病棟では、夜勤時間帯に2名以上の看護職員の配置があればよいとされています(ただし看護師比率があります。)。
このように、多くの入院基本料では夜勤時間帯の看護配置において看護職員の複数配置で足りますが、一部の特定入院料等では看護師2名以上の夜勤配置が求められており、誤認しやすいので注意が必要です。
例として、以下の特定入院料等では、夜勤時間帯に看護師2名以上の配置が施設基準として定められています。
- 小児入院医療管理料1~3(A307)
- 緩和ケア病棟入院料1・2(A310)
- 精神科救急急性期医療入院料(A311)
- 精神科救急・合併症入院料(A311-3)
- 児童・思春期精神科入院医療管理料(A311-4)
施設基準違反による返還リスクと対応策
適時調査で施設基準の不備を指摘された場合、診療報酬の自主返還を求められます。返還対象期間は最大5年、返還額が数億円にのぼる事例も珍しくありません。
そのため、夜勤の看護配置基準を十分に確認し、人員の異動などにより不備が生じていないか、定期的に自主点検しておくことが重要です。
なお、厚生局から改善指導を受けた場合でも、施設基準の解釈を巡って見解の相違があるようなケースでは、弁護士を通じて協議することが可能です。施設基準に関するご相談がございましたら、当事務所までご連絡ください。

この記事を書いた人
弁護士:石原明洋
神戸大学法科大学院卒。
病院法務に特化した外山法律事務所に所属して以来、医療過誤、労働紛争、未収金回収、口コミ削除、厚生局対応、M&A、倒産、相続問題など幅広い案件を担当。医療系資格を持つ弁護士として、医療機関向の法的支援と情報発信に尽力している。