【個別指導】初診料・再診料の算定ポイントと個別指導の注意点

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基本診療料である初診料、再診料(外来診療料)は、原則として初診・再診の際に算定できる算定頻度が高い診療報酬です。以下では、初再診料の個別指導時に指摘されやすい事項やポイントについて説明します。

初診料、再診料の算定

診療行為のカルテ記載

初診または再診時の診察や基本的な診療行為の費用は、初再診料として一括して支払われます。
初再診料に含まれる簡単な診察行為を行った場合には、カルテにその診療行為の内容や結果を記載することが求められます。

初再診料の基本的な算定ルール

初再診料を算定するための子細なルールが定められており、例えば以下のような誤りがあると指摘対象となります。

診療中止後1か月経過した場合

患者が診療を中止し、1か月経過後に再び同じ医療機関で診療を受けた場合には、同じ病名でも原則として初診料を算定できますが、慢性疾患等明らかに同じ疾病や負傷であると推定される場合には、初診料は算定できません。

診療が1か月空いていても、慢性疾患等の患者に初診料を算定すれば指摘対象となります。

付随する一連の行為

同一日か否かにかかわらず、初診又は再診に付随する一連の行為で来院した患者に対して、初診料又は再診料を算定することはできません。次の場合は付随する一連の行為とされ、初再診料を算定すると指摘対象となります。

初診時又は再診時に行った検査、画像診断の結果のみを聞きに来た

往診の後に薬剤のみを取りに来た

初診又は再診の際、検査、画像診断、手術等の必要を認めたが、一旦帰宅し、後刻又は後日検査、画像診断、手術等を受けに来た

初再診料の加算

初診や再診の際に定められた要件を満たすと加算を算定できますが、その加算事由をカルテに記載しておかなければなりません。指導対象になりやすい加算項目は次のとおりです。

時間外等加算

初再診料に対する時間外加算は、通常の診療時間外に急患などのやむを得ない理由で診療を求められた場合に、再び診療態勢を整える必要があることを考慮して設けられたものです。

したがって、次の事項は指摘対象となります。

診療態勢をとっている時間に算定している

受診時間がカルテに記載されていない。

夜間・早朝等加算

初診料に対する夜間・早朝等加算は、病院勤務医の負担を軽減するために、地域の診療所において軽症の救急患者の受け入れが進むよう、診療所が夜間や早朝などの時間帯に診療を行うことを評価するものです。

具体的には、午後6時(土曜は正午)~翌午後8時(深夜、休日を除く)、休日または深夜であって、表示する診療時間内に受付をした患者に算定できます。

そのため、次の事項は指摘対象になります。

表示する診療時間外に受け付けた患者に算定した

カルテ等に受診日(曜日)、受診時間の記載がない

外来管理加算

再診料に対する外来管理加算は、処置、手術、麻酔、リハビリテーション、超音波検査等の一定の生体検査などを行わずに、計画的な医学管理を実施した場合に算定されます。

外来管理加算を算定するには、医師が丁寧に問診し、詳細な身体診察(視診、聴診、打診、触診など)を行うことが必要です。そして、その結果をもとに患者の症状を再確認し、病状や療養上の注意点を懇切丁寧に説明します。また、患者の療養に関する疑問や不安を解消するための取り組みも求められます。

そのため、次の事項は指摘対象になります。

患者からの聴取時効や診察所見の要点について、カルテに記載していない又は記載が不十分

簡単な症状確認と継続処方のみに留まっている。

処置などを実施しているのに外来管理加算を算定している。

地域包括診療科加算

地域包括診療加算は、外来機能の分化を目的として、主治医機能もつ診療所の医師が、複数の慢性疾患をもつ患者に対し、患者の同意を得たうえで、継続的かつ全人的な医療を提供することを評価するものです。対象患者は、高血圧症、糖尿病、脂質異常症、慢性心不全、慢性腎臓病(慢性維持透析を行っていない場合に限る)及び認知症の6疾病のうち、2つ以上を有する方です。

そのため、次の事項は指摘対象となります。

他の医療機関から処方された医薬品を含め、すべての医薬品の管理状況がカルテに記録されていない。

患者の担当医ではない医師が診療した場合に算定した。

まとめ

初再診料は、細かいルールが定められており誤りが生じやすい項目です。また、外来管理加算などカルテ記載が算定要件になっている加算も多く、カルテ記載が重要になります。

個別指導の際に、算定ミスがある、カルテ記載が乏しいなどと指摘されないよう定期的に算定ルールを確認しておきましょう。

弁護士:石原明洋

この記事を書いた人

弁護士:石原明洋

神戸大学法科大学院卒。
病院法務に特化した外山法律事務所に所属して以来、医療過誤、労働紛争、未収金回収、口コミ削除、厚生局対応、M&A、倒産、相続問題など幅広い案件を担当。医療系資格を持つ弁護士として、医療機関向の法的支援と情報発信に尽力している。

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