医療機関・クリニック業界に特化した弁護士が対応

運営:外山法律事務所(大阪弁護士会所属)

06-6316-7111

お問い合わせ
メニュー

病院・クリニックにおける残業代請求に関するご相談

相談事例:元従業員からの残業代請求発生

サービス残業が当たり前になっている病院やクリニックで、既に退職した医師や看護師から、過去の残業代を請求されたというケースは珍しくありません。

以前は、職場で残業代を請求できない雰囲気があった、請求できると思わなかったなどの理由で、残業代の請求を控える医療スタッフが多かったようです。しかし、近時は、労働者としての権利意識の高まりや、インターネットを通じて残業代請求に関する情報を得やすくなったため、医療機関における残業代請求の件数も増えつつあり、決して他人事ではありません。

実際に、規模の大きい病院では、労働基準監督署の立入検査や内部告発などで、複数の職員に未払残業代があることが発覚し、後から多額の残業代を支払わざるを得なくなったという事例も起きています。

さらに、残業代請求の消滅時効の期間は、民法改正に伴い令和2年4月より、2年から3年に延長されました。そのため、職員から3年間遡って残業代を請求される可能性があり、医療機関にとって大きな負担となります。

労働時間管理を整備することの必要性

①:残業代請求案件の防止

未払残業代請求は、遅延損害金が発生しますし、訴訟にまでもつれると裁判所から付加金まで加算される可能性があります。また、医師からの残業代請求は、基本給が高額ですので、残業代も高額化します。

時間外労働などに関して労基署の立入検査が入れば、長時間労働を強いている医療機関というマイナスイメージをもたれることになり、職員の採用や集患にマイナスの影響も生じてしまいます。そのため、未払い残業代が生じないような労務管理体制を構築することが重要です。

②:適正な労働時間管理による給与支払い

労働基準法では、原則として法定労働時間を1日8時間、週40時間と定めています。また、職員が常時10名未満の病院・診療所等では、特例として就業規則等で法定労働時間を週44時間と定めることができます。

この法定労働時間を超えて労働をした場合(時間外労働)や、休日・深夜に労働した場合には、次のとおり割増賃金が発生します。
1.時間外労働…25% ※時間外労働が1か月60時間を超えれば50%
2.休日労働 …35%
3.深夜労働(午後10時から午前5時まで)…25%
 ①時間外労働+深夜労働…50%
 ②休日労働+深夜労働…60%

これらの時間外労働は、原則として1分刻みに計算します。また、パート・アルバイト職員であっても、同じ割引率が適用されます。
タイムカードなどで職員の労働時間を適正に管理し、時間外労働が生じている場合には、法令に従って給与計算をしましょう。割増賃金が支払われていなければ、後に、職員から未払残業代を請求されることになります。

③:残業時間の抑制による従業員の定着

サービス残業が常態化しているクリニックでは、スタッフの不満が蓄積するので、必然的に離職率が高くなります。しかし、スタッフが離職すると、業務に支障が出るだけでなく、新たなスタッフを採用するためのコストも発生してしまします。

時間外労働に対する割増賃金の支払いが困難であれば、残業が発生しないよう業務を効率化するなどの対策を講じて、スタッフの定着につなげましょう。

病院・クリニックが対応すべきこと

残業代請求案件発生時の迅速な対応

残業代請求は、一般的に、職員から内容証明郵便で請求書が送付されるところから始まります。請求された医療機関としては、保管している職員のタイムカードなどの資料を踏まえて割増賃金の有無、金額を検討し、請求者と交渉をすることになります。

このとき、職員の請求を無視してはいけません。残業代請求は、使用者側にもいくらか支払義務が認められるケースが少なくないので、放置していると、訴訟に発展したり、労基署に告発される恐れがあります。また、他の職員に波及する可能性もあり、放置していると事態がますます悪化していきかねません。

残業代の請求があった場合には、迅速に対応しましょう。

労働時間管理体制の整備

未払残業代は、医療機関側が、労働時間を適正に把握できていないために発生することがほとんどです。そのため、タイムカード、勤怠管理システム、パソコンの使用時間の記録など、労働時間を客観的に把握できる記録を残しておく必要があるでしょう。

近年は、医師の働き方改革に伴い、一定規模の病院では労務管理体制を見直そうという機運が高まっています。まだ、労働時間管理体制が十分に整備できていない場合には、早期に対策を講じましょう。

従業員への周知・理解

医療機関では、宿直時の緊急対応が発生した場合や、院内での自己研鑽をする場合など、時間外労働にあたるか否かの線引きが難しいケースもあります。

これらの考え方については、厚生労働省が情報提供をしていますが、院内においてもルールを職員に周知し理解してもらうことで、予期せぬ残業代請求を回避することができます。

病院・クリニックにおける労務トラブルは当事務所へ

当事務所の特徴①

当事務所では、労働者から残業代請求を受けた場合、残業代の有無や、その金額の妥当性などを速やかに検討し、示談で迅速な解決を目指すか、過大請求に対して訴訟等で争っていくかを見極め、適切な解決に向けた提案を致します。

当事務所の特徴②

職員から残業代請求があるということは、労務管理の整備が不十分であった可能性があります。当事務所では、医療機関の業務形態の特殊性を踏まえたうえで、就業規則や雇用契約書、勤怠管理の方法を見直すなどにより、労務管理体制の整備を行います。 

当事務所の特徴③

労働基準監督署から残業代などに関する立入検査(臨検)があった場合でも、その後の報告書の作成や、労務管理体制の改善に向けた適切なアドバイスを致します。

医療機関・クリニック経営における未払い残業代の請求に関するトラブルは当事務所にご相談ください。

06-6316-7111

メールでのご相談予約はこちらをクリックメールでのご相談予約はこちらをクリック
チャットワークで相談予約チャットワークで相談予約