ケース⑥速度違反の赤切符で、医道審議会への付議を回避できた事例
事案の概要
医師の相談者は、一般道路において最高速度を45km/h超過する105km/hで走行したとして、速度違反により赤切符を切られました。速度超過の程度が大きいことから、略式命令により罰金刑となることは覚悟されていました。
しかし、医師が罰金以上の刑罰を受けた場合、法務省から厚生労働省へ起訴内容などの情報が提供され、医道審議会で審査される可能性があります。この医道審議会では、戒告・医業停止・医師免許取消などの行政処分が科され、氏名が公表されるおそれがあります。
そこで、相談者から、罰金刑はやむを得ないとしても、厚生労働省への情報提供がされないよう対応して欲しいとのご依頼がありました。
当事務所の対応
法務省と厚生労働省の運用では、医師が罰金以上の刑を受けた事件で、公判請求された事件又は略式請求された事件は、原則として情報提供の対象となります。ただし、「軽微な事件」については、公判請求された場合に限り情報提供の対象とされています。
つまり、「軽微な事件」として略式命令により処理された場合には、例外的に情報提供の対象外になるといえます。
そこで、当事務所では、速度超過があったものの交通上の具体的危険は生じていなかったことなど、本件が軽微な事件に該当する事情を記載した意見書や証拠を検察官に提出し、略式請求をしても厚労省に情報提供を行わないよう働きかけました。
その結果、略式請求は避けられなかったものの、厚生労働省への情報提供は見送るとの回答を得ることができました。
本件のポイント
医師が罰金以上の刑を受けると、医道審議会にかけられ、戒告・医業停止・医師免許取消などの行政処分が行われ、氏名が公表されるリスクがあります。
しかし、弁護士が検察官に対して、「軽微な事件」として略式請求するべき事案であることを法的に主張することで、厚生労働省への情報提供を阻止し、医道審議会への付議を回避できる可能性があります。
当事務所では、医師の方の刑事弁護や医道審議会対応を多く取り扱っております。スピード違反で赤切符を受けて、医師としての業務や将来のキャリアに影響がないか心配な方は、ぜひ一度当事務所にご相談ください。

この記事を書いた人
弁護士:石原明洋
神戸大学法科大学院卒。
病院法務に特化した外山法律事務所に所属して以来、医療過誤、労働紛争、未収金回収、口コミ削除、厚生局対応、M&A、倒産、相続問題など幅広い案件を担当。医療系資格を持つ弁護士として、医療機関向の法的支援と情報発信に尽力している。

