ケース②複数の患者から未収金回収に成功した事例
事案
中規模の病院から、未収金回収のご依頼をいただきました。未収患者は約10名おり、それぞれ3万円から70万円の未払いがありました。
事務所の対応
まず、弊所で用意した未収患者リストに、病院側で患者の氏名、住所、未収額などをご記入いただきました。
このリストに基づき、各患者宛の通知書を自動的に作成し、支払方法の希望などを記入できる回答書と共に発送しました。
通知書を受け取った患者の中には、すぐに治療費を支払った方もいましたが、経済的な理由から一括払いが難しいと回答書で伝えてきた方もいました。これらの方には、支払可能な分割額を交渉し、合意書を作成して分割払いによる回収を実現しました。
一部の患者は、消滅時効を援用し、債務が消滅していると主張したため、回収を断念しました。
支払いも連絡もなかった患者には、内容証明郵便で催促しましたが、それでも支払いがなかったため、簡易裁判所に訴訟を提起しました。その結果、訴状が届いた時点で弁済が行われ、未収金の回収に成功しました。
ポイントの解説
未収金回収リストとフォーマットを活用することで、複数の未収患者に対して効率的に債権回収を実施できます。
一括払いが難しい患者には、経済状況を考慮し、現実的な弁済案を立てて書面化することが重要です。
催告書だけでは支払わない患者には、やむを得ず訴訟を提起する必要があります。ただし、裁判所の手続きをとることで、すぐに支払う患者もいます。判決が下っても支払いを拒む患者に対しては、預金や給与債権などを差し押さえて強制的に回収する方法を検討すべきでしょう。
注意すべき点として、医療費の未収金には5年の消滅時効があります。未収金を放置すると回収が困難になるため、債権管理を徹底し、早期に回収手続きを行うべきです。
対応が難しい患者や未収金額が大きい場合は、弁護士に依頼することをお勧めします。
この記事を書いた人
弁護士:石原明洋
神戸大学法科大学院卒。
病院法務に特化した外山法律事務所に所属して以来、医療過誤、労働紛争、未収金回収、口コミ削除、厚生局対応、M&A、倒産、相続問題など幅広い案件を担当。医療系資格を持つ弁護士として、医療機関向の法的支援と情報発信に尽力している。