ケース④職員からの未払残業代請求を交渉で解決した事例
事案の概要
ある職員から未払い残業代を請求され、その対応について相談を受けました。
この職員は以前から院長に対する不満を抱いており、他の職員に院長の悪口を言いふらしていました。在職中にもかかわらず残業代を請求し、さらに院長の悪口を広めることで、職場の雰囲気が悪化していました。このため、院長は当該職員に退職してもらいたいと考えていました。
事務所の対応
院長が診療に専念できるよう、弁護士が代理人として職員との交渉を担当しました。
まず、タイムカードをもとに残業代を計算し、その金額を職員に提示しました。その際、職員の勤務態度に問題があることや、当院の職場環境が職員に合わない点を指摘し、自主的な退職を促しました。
しかし、職員は以前から抱えていた不満を主張し感情的になっていたため、弁護士が直接面会し、丁寧に話を聞きました。次第に職員も当方の意見を受け入れ、冷静に対応できるようになりました。
最終的には、適切な額の残業代を支払うことで職員が退職に同意し、合意書を締結して解決に至りました。
ポイントの解説
本件は職員が代理人を立てずに残業代請求を行った事例です。職員は当初、感情的に医院側の労務管理に問題があると主張していましたが、弁護士が介入したことで話し合いが円滑に進み、双方の要望が反映される形で解決に至りました。
労務紛争が生じた場合、早期に弁護士に依頼することで、問題が深刻化する前に解決へ導くことができます。また、労務紛争を契機に、医療機関の労務体制の改善についてもアドバイスが可能です。院内の労務トラブルでお困りでしたら、ぜひ弁護士にご相談ください。
この記事を書いた人
弁護士:石原明洋
神戸大学法科大学院卒。
病院法務に特化した外山法律事務所に所属して以来、医療過誤、労働紛争、未収金回収、口コミ削除、厚生局対応、M&A、倒産、相続問題など幅広い案件を担当。医療系資格を持つ弁護士として、医療機関向の法的支援と情報発信に尽力している。