ケース①見舞金の支払いで医療ミスを疑われた事案

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事案

産婦人科医院において、無痛分娩のための硬膜外麻酔が開始されたのですが、産婦Aさんは意識を消失してしまい、総合病院に救急搬送されました。

経腟分娩は成功したものの、Aさんに軽度の脳障害が残ってしまい、Aさんのご両親から硬膜外麻酔の手技に問題があったのではないかとクレームがありました。

院長は、Aさんの障害の原因は判然としないものの、Aさんを不憫に思い、いくらか見舞金を支払うと提案しましたが、かえってAさんらに「金銭を支払うということは何かやましいことがあるはずだ」との疑念を抱かせてしまい、提示額以上の金額を要求されるようになりました。

事務所の対応

当事務所の弁護士が医院側の代理人として、Aさんの父Bさんと交渉することになりました。

まずは、Aさんの症状の原因を究明するために、Aさんの同意を得て救急搬送先のAさんのカルテを取り寄せました。

すると、Aさんの意識障害は、硬膜外麻酔とは関係のない疾患が要因になった可能性があることが判明しました。

そこで、担当弁護士は、父Bさんに面談や電話を通して、Aさんの意識障害の原因と訴訟になった際の見通しを、医療記録を示しつつ何度も丁寧にご説明差し上げました。

時間はかかりましたが、幸いにもAさんとご両親の理解を得ることができ、当初の提示額で示談を成立させることができました。

ポイントの解説

診療に関するクレームにおいて、見舞金名目であっても金銭解決を提案すると、患者・患者の家族から医療機関側の過失を疑われ、事態が紛糾しかねません。

医療ミスが疑われるケースでは、初動対応が重要になりますので、早期に弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

なお、クレーム対応を弁護士にご依頼いただくと、患者対応は基本的に弁護士が引き受けますので、院長やスタッフが矢面に立って交渉をする必要がなくなります。

担当弁護士は、必ずしも患者と対峙するわけではなく、患者の理解が得られるように誠実に対応し、円満な解決が図れるように努めます。

患者とのトラブルについて、カスハラ対策マニュアルに関する記事はこちら

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弁護士:石原明洋

この記事を書いた人

弁護士:石原明洋

神戸大学法科大学院卒。
病院法務に特化した外山法律事務所に所属して以来、医療過誤、労働紛争、未収金回収、口コミ削除、厚生局対応、M&A、倒産、相続問題など幅広い案件を担当。医療系資格を持つ弁護士として、医療機関向の法的支援と情報発信に尽力している。

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